序章:誰にも見せないはずの場所で
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6月中旬
“人には見せない場所”を、自分の手で照らすことになるとは思っていなかった。
「もう少しだけ、滑らかになりたい」
──尻だってその対象であっていいじゃないか。
一章:入会、そして予約の向こう側
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チョコザップに入会した。
トレッドミルで歩数を稼ぐ目的だった。
しかしチョコザップアプリをいじっていたら、見つけてしまった。
**“セルフ脱毛”**という言葉。
ジムのおまけ程度かと思った。
おまけのくせに「予約必須」と書かれていた。
おまけなのにところどころ枠が埋まっていた。
おまけじゃないのかもしれない。
興味と好奇心と、そして少しの焦りで、私は脱毛の予約ボタンを押していた。
二章:まさかの個室、鍵付き、そして本気
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2畳ほどの個室だった。
想像以上に“ちゃんとしていた”。
壁にはフック。
ハンガーもある。
ちゃんと荷物をかけられる。

ドアには──鍵がついていた。

チョコザップなのに、ちゃんと鍵がついていた。
この鍵が、あとで大きな意味を持つことになるとは、そのときの私はまだ知らない。
三章:セルフとは、己との対話である
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中に入ると、脱毛マシンが鎮座していた。

見た目はシンプルだけど、明らかに“おもちゃ”ではない。
壁には照射可能部位のイラストが貼ってある。

そこには、いくつかの指示があった。
VIO:ダメ。汚いし、何かあったら困る。
顔と首:危ないからやめておいて。
背中:見えないから無理でしょ。
尻:…オッケーです(?)
尻は……いいの?
思わずイラストを二度見した。
あの尻だけが、なぜか許されていた。
四章:半尻の革命
—脱ぐしかなかった。
でも、脱げなかった。
人がいないとはいえ、見られてはいないとはいえ、鍵もかかっているとはいえ
──完全に尻をさらすには、勇気が足りなかった。
私は、尻の上の方だけ、そっとあらわにした。
照射ボタンを押す。
ミュゼと遜色ない強さが、パチリと尻を焼く(※安全です)。
「照射中」その言葉の重みが、今、上尻に響く。
五章:ツルツルは半分から
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終わった。
機械を戻し、服を整え、鍵を外す前に、自分の尻をそっと触った。
つるんと潤っていた。
笑いが出た。
上半分だけ、明らかに肌が違った。
ちょっとだけ、未来が見えた気がした。
次回は、下尻…?
いやいや。
終章:あなたもぜひ、鍵の向こうへ
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チョコザップのセルフ脱毛。
正直、期待してなかった。
でも、ちゃんとしていた。
何より、誰にも見られないのがいい。
脱毛って、見られたくないところほど、やりたくなる。
セルフだからこそできる。
自分のペースで、自分の好きな部位を、誰にも遠慮せずに照らせる。
尻にだって、自由があっていい。—